二百名山を気長に登るブログ

二百名山の制覇を気長に目指してます。公共交通機関を利用した縦走が好きです。

焼石岳:花と水が豊かな山。つぶ沼コースを行く。

2025年6月29日 二百名山焼石岳に登りました

焼石岳の山頂とワタスゲの花畑>

岩手県の南部に位置する焼石岳。山名の由来は、薬師岳から転訛したという説と、山頂が焼けたように黒く見えるからという説があるそうです。姫神山と早池峰山に続き、今年3度目の岩手県登山。ここでも東北らしい花の魅力を味わいました。つぶ沼登山口から往復する、距離18.8km・累積登り1296mのコースを紹介します。

アクセス
23時00分 池袋駅発(夜行バス)
04時35分 一ノ関駅
05時00分 一ノ関駅発(レンタカー)
06時20分 つぶ沼駐車場着

夜行バス「けせんライナー」で一ノ関駅に到着。トヨタシェアでレンタカーを借りて、市内の松屋で朝食。

平泉を北上して奥州市に入ると、焼石連峰が見えてきました。稜線が長く、いくつもの峰で成り立っていることが分かります。

岩手県側のコースは、距離の短い中沼コースの方が人気ですが、登山口までの尿前林道が悪路で、駐車場も混雑するらしいので、今回はつぶ沼コースを選びました。

一ノ関駅から1時間で、つぶ沼駐車場に到着。広い駐車場には10台ほど駐まっていました。

6時30分、登山開始。

まずはブナ林を歩きます。先月登った船形山もそうでしたが、スギ林ではなくブナ林から始まるのは東北っぽいですね。つぶ沼コースは、中沼コースに比べると長距離ですが、急坂がないので歩きやすいと思います。

この日は奥州市でも最高気温32度を記録。熱中症にならないよう、沢で水を浴びながら歩きました。この先も沢や沼が現れます。焼石岳は水が豊かで、「花の山」と同じぐらい「水の山」という印象が残りました。

8時00分、石沼に到着。

焼石連峰の稜線も見えてきます。奥に見えるのは、たぶん天竺山。

8時25分、中沼コースとの合流地点に到着。

雪渓の下には、水芭蕉が群生していました。

次は銀明水を目指します。

植物が増えるのもこの辺りから。こちらはリュウキンカ(立金花)。他にもミヤマキンポウゲミヤマキンバイなど、黄色の花が目立っていました。

8時50分、銀明水に到着。水場と避難小屋がある休憩ポイント。雪渓があるのでちょっと涼しく、沢のせせらぎも心地良いです。冷たい水を浴びて一休みしました。

銀明水から後半戦。高木が減り、明るい道になります。沢山咲いていたコバイケイソウ(小梅蕙草)。

雪渓をトラバースして、しばらく登ると、

焼石岳が見えてきました。左に横岳、前に焼石岳、右に東焼石岳が佇む、開放的な高原。

日差しはきついものの、ちょうどいい風が吹き抜け、暑さを和らげてくれます。

10時00分、姥石平分岐に到着。前に進むと焼石岳、右に進むと姥石平です。山頂を目指して直進します。

泉水沼を過ぎ、

チングルマが咲く道を登ると、

奥羽山脈が広がる北西の展望が開けます。もう一息登って、

10時15分、焼石岳に到着。標高1548m。登山口から3時間45分のタイムでした。

広い山頂には10人ほどの登山者。素晴らしい山なので、もっと賑わっていてもおかしくないのですが、全国的な知名度がそこまでないからなのかな? 百名山谷川岳会津駒ヶ岳と同じぐらいお勧めしたい山です。

北側の眺め。いくつもの峰々と湖沼を擁する、広大な山域であることが分かります。

下山は姥石平への周回ルートを歩きます。

所々岩場がある焼石岳北面を下って、

東成瀬コースの九合目に到着。

ここで南下して姥石平分岐に向かいます。沼のほとりを歩いて、少し登り返すと、

お花畑が広がっています。これはハクサンイチゲかな? 先週が見頃だったようですが、少しだけ残っていました。

前方に横岳、右手に焼石岳を眺めながら、草原の只中をのんびり歩きます。この日、一番気に入った景色。

ワタスゲも綺麗でした。

11時25分、姥石平分岐に戻ってきました。

ここからは同じ道を長々と下りて、

14時20分、つぶ沼にゴールしました。

<記録>
6時30分開始、14時20分下山(7時間50分)
距離18.8km・累積登り1296m

🚙🚙🚙🚙🚙 🚙🚙🚙🚙🚙

下山後は、つぶ沼から車で約10分のところにある、焼石クアパークひめかゆへ。入浴料700円。内湯と露天がある広い温泉で、熱めの湯。東北って熱い温泉が多いんですかね。私は熱い湯が好きです。

16時、一ノ関駅に帰還。

駅前の庄やで一杯飲んで、

新幹線に乗車。指定席は売り切れだったので、デッキで眠りながら東京に帰りました。

早池峰山:花の名山!河原の坊から小田越コースを往復

2025年6月19日 百名山早池峰山に登りました

<八合目の長い梯子を下る>

岩手県の中央に位置する、北上高地の最高峰。草花の名前をなかなか覚えられない私ですが、昨年、白山に登ったとき高山植物に魅了され、今年も観花の機会をうかがっていました。そこで実行した今回の登山。さすが花の名山と思わせる素敵な山でした。小田越コースを往復する、距離9.3km・累積登り880mの行程を紹介します。

アクセス
23時00分 東京鍛冶屋橋発(夜行バス)
06時40分 北上駅
07時00分 北上駅発(レンタカー)
08時20分 河原の坊駐車場着

東京から盛岡行きのバスに乗って北上駅に到着。4列シートでやや窮屈でしたが、バス代は直前割で2400円という安さ。たまに4000円ぐらいで乗れる時はありますが、ここまで安いことはあまりないですね。ちなみに最も安かった夜行バスは、伯母子岳からの帰り、大阪難波から東京新宿まで1700円でした。

北上駅からレンタカーを運転すること1時間20分、河原の坊駐車場に到着。平日にも関わらず、50台ほど駐められる駐車場は7割以上の埋まり具合でした。(休日はマイカー規制があるため要注意)

8時30分、登山開始。

歩き始めるとすぐ、花巻生まれの宮沢賢治の詩碑があります。ちなみに、姫神山周辺では渋民育ちの石川啄木の詩をよく目にしました。早池峰の賢治、姫神の啄木。それぞれ30代と20代で世を去っています。自分は偉人の享年を越してしまったのだと思うことが、40歳になって増えてきました。もうジョン・レノンよりも年上です。

河原の坊から車道を2kmほど歩いて、

9時00分、小田越に到着。ここから登山道に入ります。前方には早池峰山、後方には薬師岳が聳えています。

まずは緩やかな樹林帯を歩きます。

小田越から20分ほど歩いたところで、岩々しい道になり、

標高1400m付近で頭上が開けました。この標高で森林限界を越えるのは珍しいです。理由は、早池峰の山が、植物に有害なマグネシウムを出す蛇紋岩でできているから。至仏山谷川岳・白馬岳なども蛇紋岩質の山です。

高山植物が現れるのもここから。結構急な上りですが、岩間に可愛らしい花が咲いているので、皆さん写真を撮りながら、ゆっくり登っています。私も花の名前を覚えるため、写真を撮りました。

ミヤマキンバイ。梅花に似ていて、雌しべが金色の糸に見えることが名の由来。

ミヤマオダマキ。三合目あたりに見事に群生していました。機織りに使われる糸巻「苧環」に似ていることが名の由来。現代人の私にはイメージがわきづらいかも。。

ミヤマシオガマ。葉まで美しいことから、風光明媚で名高い塩竈(浜で美しい)にかけて名付けられたとのこと。いや、もう名前が凝りすぎててよく分からんわ。。。

早池峰山の固有種、ハヤチネウスユキソウも咲いていたはずなのですが、残念ながら私には見つけられませんでした。見る目を養わないとダメですね。

10時05分、五合目に到着。山頂の避難小屋まで目視できます。

五合目辺りから目立ってきたのはイワウメ。

写真では伝わりにくいですが、白くポツポツ見えるのは全部イワウメ。目を見張るほど多く、最も印象に残りました。

景色が良くなるのも五合目辺りから。左を見渡すと、鶏頭山への稜線。

後ろを振り返ると薬師岳。遮るものがないので、遠くの登山者まではっきり見えます。

足元にはナンブイヌナズナ。至る所に咲いていましたが、早池峰以外には、北海道の夕張岳と戸蔦別岳にしか分布していないのだそうです。

八合目に着くと、長さ10mほどの二段梯子が出てきます。思ったほど垂直ではなく、それなりに傾斜があるので、特に問題なく上れました。

梯子の後、岩ゴロゴロの道を登って、

山頂稜線に到着。左に進むと早池峰山頂、右に進むと早池峰剣ヶ峰です。山頂を目指して左に進みます。

平坦な稜線を歩いて、お地蔵様に手を合わせ、

10時45分、早池峰山に到着。標高1917m。小田越の登山口から1時間45分のタイムでした。

山頂は15人ぐらいの登山者で賑わっていました。ちなみに早池峰の名前の由来は、「疾風(はやち)を呼ぶ山」や「早地の泉(水が枯れたり湧いたりするのが早い)」など、いくつか説があるそうです。

昼食をとって下山します。

再び梯子まで下りてきました。上りのときは平気でしたが、下りは高度感がありました。こういう所って、下りる方が恐いんですよね。近くにいた登山者が、同行者の方に「下を見るな、梯子だけを見るんだ」とアドバイスしていました。

近くに草花を見つけながら、遠くに岩手の山々を眺めながら、のんびりと下ります。

振り返って山頂。天気と時期に恵まれ、花の名山たる所以をありありと感じました。

小田越から車道を歩いて、

13時15分、河原の坊にゴールしました。

<記録>
8時30分開始、13時15分終了(4時間45分)
距離9.3km・累積登り880m

🚙🚙🚙🚙🚙 🚙🚙🚙🚙🚙

下山後は花巻市にある東和温泉へ。入浴料700円。露天風呂や炭酸泉もあり、大好きな熱めの湯。いい温泉でした。

北上川に沿って南下し、

北上駅でレンタカーを返却して、新幹線に乗車。

夕食は、売店で買った平泉のうに丼

日本酒「銀河鉄道の夜」を飲み、

最近の米騒動を思いつつ、東北の田園を眺めながら帰りました。

乗鞍岳:信州旅2日目、畳平から剣ヶ峰まで最短コースを歩く

2025年6月8日 百名山乗鞍岳に登りました

<剣ヶ峰から蚕玉岳への稜線を下る>

長野県松本市岐阜県高山市にまたがる活火山。23の峰を総称して乗鞍岳と言います。前日歩いた美ヶ原からも、隆起する峰々が見てとれました。

乗鞍岳は3000mを越える日本有数の高峰ですが、標高2700mの畳平までバスで来ることができます。そこで、捻挫明けの私でも大丈夫そうな、畳平から剣ヶ峰までの最短コースを歩きました。距離5.8km・累積登り389mの行程を紹介します。

前日宿泊した美鈴湖キャンプ場を6時00分に出発。国道158号上高地方面に上がって、7時30分、ほおのき平バスターミナルに到着。マイカー規制されている畳平へは、ここからシャトルバスでアクセスします。往復チケット(3400円)を買って、7時55分の始発便に乗車。全員が乗れるようにバスを手配してくれているようで、この日は2台出ていました。

昭和16年、陸軍が航空エンジンの高所実験を行うために建設し、戦後観光用として刷新された乗鞍スカイライン。ほおのき平から畳平まで、標高差1000mを一気に上がります。私は子供の頃、家族旅行で来た覚えがあります。約30年ぶりにやって来ました。

8時40分、畳平バスターミナルに到着。登山者だけでなく、スキーヤー・観光客・サイクリストたちが集う拠点です。

8時45分、登山開始。

峰々が立ち並び、山上湖が佇むなかを、緩やかに登ります。前方の富士見岳をぐるっと巻くように進むと、

最高峰の剣ヶ峰が見えてきました。その少し手前の2つのピークは朝日岳と蚕玉岳です。

高さ3mほどの雪の壁を抜けて、

9時20分、肩の小屋に到着。

小屋の裏側が剣ヶ峰口で、ここから本格的な登りになります。

ガレ場をしばらく登ると、

長さ100mほどの雪渓エリア。念のためチェーンスパイクを履いて進みました。

雪渓エリアを越えると、熱心にカメラを構えている人たちがいます。ということは・・・そう、雷鳥がいました! 昨年の北アルプス以来、2度目に見る雷鳥。人を怖がらず、近くで見ることができるので、一層愛らしく感じます。

さあ、再び登ります。

蚕玉岳というピークに着くと、山頂はすぐ先で、

10時15分、剣ヶ峰に到着。標高3026mで乗鞍岳の最高峰。畳平から1時間半のタイムでした。

南側には御嶽山

北側には北アルプス槍ヶ岳奥穂高岳前穂高岳の一塊が際立って見えます。

見下ろすと権現池。雪解けの水面がエメラルド色に輝いています。

混み合う山頂を後にして、同じ道で帰ります。雲がとれて青空になってきました。

登山時は曇っていたので雷鳥に会え、下山時は晴れて絶景になったので、いいとこ取りできた気分。

遠くに北アルプス、近くに乗鞍岳の峰々を眺めながら、標高を下げていきます。

向かいにある摩利支天岳の山頂には、乗鞍コロナ観測所という建物があります。スーファミ時代のファイナルファンタジーの城砦っぽくて、中二心をくすぐられっぱなしでした。

登山者だけでなくスキーヤーも数多くいました。この雪渓を直登するなんて、登山者よりも足腰強いですよね。スカイラインを自転車で走っている人も多かったですし、乗鞍は様々な人を迎える、懐の深い山だと感じました。

肩の小屋付近まで降りて、剣ヶ峰を振り返ります。ここからは平坦な道を下って、

11時40分、畳平に戻ってきました。

畳平からほおのき平まで、1時間に1本バスが出ています。11時55分発のバスに乗って、12時35分、ほおのき平に戻りました。

<記録>
8時45分開始、11時40分下山(2時間55分)
距離5.8km・累積登り389m

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下山後は、ほおのき平から車で15分のところにある平湯温泉へ。笠ヶ岳が格好良く見えます。

平湯バスターミナルに駐車して、平湯民俗館にやって来ました。

敷地内には、温泉のほか、合掌造りの資料館や食事処があります。観光客向けの催しも行われていて、結構賑わっていました。食事処でクレソンバーガー(600円)を食べて、

平湯の湯に入浴。寸志300円を箱に入れるシステムです。露天風呂で開放的でした。

入浴後、平湯を後にして東京に帰ります。日曜午後の中央道の上り。当然、大渋滞にはまり、5時間かけて帰宅しました。登山よりも、運転に疲れた旅でした。

前日の美ヶ原の記事はこちら↓

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美ヶ原:信州旅1日目、道の駅から王ヶ鼻までの高原散歩

2025年6月7日 百名山の美ヶ原を歩きました

<美ヶ原の牧歌的情景にひたる>

先々週の登山で捻挫してしまったので、急峻な山岳は避け、美ヶ原の高原にやってきました。リハビリ目的で訪れましたが、いざ歩いてみると、さすが百名山。過去最高レベルの眺望を楽しめました。富士山・八ヶ岳南アルプス中央アルプス御嶽山乗鞍岳北アルプス・頸城山塊・上信の山々と、あらゆる名山を眺めた高原散歩。距離10.7km・累積登り277mの行程を紹介します。

東京の自宅から車で約3時間。中央道とビーナスラインを走って、8時30分、道の駅 美ヶ原高原に到着。土曜日なので駐車場の混雑が心配でしたが、十分に余裕がありました。

8時40分、スタート。標高は、道の駅が2000m、王ヶ頭が2034mなので、ほぼ高低差がないハイキングです。

まず、美ヶ原高原美術館の脇を通ります。箱根彫刻の森美術館の姉妹館で、屋外に彫刻が展示されています。

木道を少し上がって、

牛伏山に到着。歩き始めてまだ10分ですが、

絶景が広がっています。他の山なら、何時間も登って得られるような眺望。特に北アルプスが間近に見えます。こちらは槍ヶ岳穂高岳

こちらは立山や白馬岳。

そして美ヶ原を見下ろします。右の丘が王ヶ頭。左奥には御嶽山が見えます。

牛伏山を下って、高原の只中を歩きます。

左手には富士山と八ヶ岳

そして牛たち。美ヶ原は共同牧場で、松本市安曇野市などの畜産農家が、5月から10月頃にかけて放牧しています。その数、300頭ほど。涼しい高原で過ごした牛は、下牧後に美味しい乳を生むんだそうです。

9時25分、美しの塔に到着。芸術オブジェかと思いましたが、濃霧の日に鐘を鳴らすための塔なんですね。壁面には、登山道を切り開いて高原を開発した、山本俊一氏のレリーフが飾られています。

王ヶ頭に向かって、ゆるやかに登ります。

帰りの時間を気にしたり、険しい山道に注意したりする普段の登山とは違い、本当にのんびりと歩くことを味わいました。広々した空間と悠々とした牛の姿が、せわしない時間感覚を解き放ってくれます。

王ヶ頭に近づいてきました。振り返るとこの景色。

10時00分、王ヶ頭(おうがとう)に到着。王ヶ頭ホテルと、いくつもの電波塔が立っています。美ヶ原は、長野県の中央に位置し高所にあるため、電波発信の要衝になっています。

王ヶ頭ホテルの裏に山名碑。標高2034m。美ヶ原の最高地点です。

もう少し足を延ばして、前方の王ヶ鼻に向かいます。松本市から眺めたときに、冠をかぶった王様の頭に見えるのが王ヶ頭、鼻に見えるのが王ヶ鼻です。

シラビソの森を抜けて、

10時30分、王ヶ鼻に到着。標高2008m。

ここも展望がよく、

松本盆地の向こうに、乗鞍岳(左)と北アルプス(右)を見渡せます。王ヶ頭と同じぐらい賑わっていて、続々とハイカーが集まってきました。

今日はここまで。同じルートで帰ります。

王ヶ頭ホテルに寄り道。レストランは木の温もりがある素敵な造りで、食事も美味しそうでした。今回はソフトクリームだけ食べて、

12時50分、道の駅にゴール。朝は空いていた駐車場も、ほぼ満杯になっていました。

<記録>
8時40分開始、12時50分終了(4時間10分)
距離10.7km・累積登り277m

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捻挫の回復具合も良さそうなので、明日は乗鞍岳に登ります。

扉峠からアザレアラインを通って、松本市の浅間温泉郷にある枇杷の湯へ。入浴料800円。江戸時代、松本藩主のために造られた湯殿で、優雅な気分にひたれます。

市内のスーパーで買い出ししてから、宿泊地・美鈴湖もりの国オートキャンプ場に到着。料金2400円のソロ区画を利用しました。

初めてのキャンプ泊。敷地内には売店もあるので、私のような初心者も心配なく過ごせます。

夕食を作って、売店で買ったクラフトビール信濃ワインを飲みながら、ゆったりと過ごしました。松本市の夜景が綺麗に見えます。22時、就寝。

明日は乗鞍岳に登ります。記事はこちら↓

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船形山(御所山):難しかった残雪期の升沢コース

2025年5月28日 二百名山の船形山に登りました

<船形山の山頂と避難小屋>

宮城県山形県にまたがる船形連峰。その主峰を、宮城県では船形山、山形県では御所山と呼びます。今回、宮城県側の旗坂キャンプ場から升沢コースを歩きました。距離14.5km・累積登り1090mの行程を紹介します。

アクセス
23時20分 新宿駅発(夜行バス)
05時30分 仙台駅着
06時00分 仙台駅発(レンタカー)
07時20分 旗坂キャンプ場着

夜行バスで仙台駅に到着。吉野家で朝食をとった後、トヨタシェアのレンタカーで移動します。

仙台を北上して大和町に入ると、船形山が見えてきました。山名の由来の通り、船底を逆さに伏せた形をしています。

仙台駅から1時間ちょっとで旗坂キャンプ場に到着。升沢林道は悪路らしいのですが、今回通ってきた県道147号線は舗装路で、特に問題なく走行できました。先行車は2台だけです。

7時30分、登山開始。

登山口には30番の札。山頂に向かって1番ずつカウントダウンしていきます。

関東ではスギ林から始まるのがほとんどですが、ここではブナ林からスタート。東北の山って感じがしますね。

頭上にコブシの花。触ってみると、水気をたっぷり含んでいて、口に含みたくなるような瑞々しさでした。

8時35分、鳴清水に到着。水場はありませんが、沢の音が響いています。1時間で10番進んだので、山頂まであと2時間ぐらいかなと思いましたが、甘かったです。後半に難路が待ち受けていました。

日も照りはじめ、ブナ林はいっそう鮮やかに。

15番の先の分岐点から、少し寄り道したところに、

三光の宮があります。ずっとブナ林の中を歩いていたので初展望。南側には北泉ヶ岳が見え、

北側には船形山が見えます。山頂の避難小屋まで目視できました。景色を眺めながら休憩し、後半戦に挑みます。

険しくなるのはここからでした。冬の間に押し倒された木の枝が、泥濘の道をふさぎ、

残雪でルートは分かりにくくなっています。何度か迷いました。

10時10分、升沢小屋に到着。ここで一休みしたかったのですが、大量の虫が飛び回るので、腰も下ろせず、やむを得ず先に進むことに。

升沢小屋からは、升沢コースの核心部・沢歩きです。

ここが難所。沢と雪渓のミックスに手こずりました。雪渓の下は空洞。トレースも見分けにくい。この道で合っているのかという不安と、踏み抜けば川に落ちるという恐怖で、神経をすり減らします。

少ないピンクテープを目印に、頻繁にGPSでルートを確認し、慎重に沢を遡行。沢エリアは500m程度だったと思いますが、非常に長く感じました。

なんとか沢エリアを通過した後は、雪渓の急登。ここも長かった(泣)

心身ともにくたびれて、11時00分、千畳敷に到着。ここで初めて登山者とすれ違い、孤独感が和らぎました。

千畳敷からは展望の良い稜線歩き。

北を見渡すと月山。

この展望を目当てにやって来たんです。

ミヤマキンバイが咲く坂を上がって、

11時15分、船形山に到着。標高1500m。登山口から3時間45分のタイムでした。いつもはコースタイムの0.7-0.8倍で登れる私も、今回はコースタイム(4時間15分)とほぼ同じ時間を要しました。タフな登りでした。

山頂にはミヤマキンバイが咲き誇り、

奥に月山が美しく聳えています。

虫を避けるために、避難小屋で昼食をとって、

誰もいない山頂を後にしました。

帰りも同じ升沢コースで下山します。

下山中にアクシデント。沢エリアの雪渓を踏み抜いて、足首を捻挫してしまいました。幸い軽度だったので無事下山できましたが、下りで油断してしまいました。

14時25分、旗坂キャンプ場に下山。精神的にも体力的にもハードな山行でした。反省すべきは、下調べが足りなかったこと。コース把握が不十分だったために、難路で余裕をなくし、怪我に繋がってしまいました。分かっているつもりではいましたが、山を甘く見てはいけません。

<記録>
7時30分開始、14時25分下山(6時間55分)
距離14.5km・累積登り1090m

🚙🚙🚙🚙🚙 🚙🚙🚙🚙🚙

下山後は台ヶ森温泉へ。静かな山中にあります。入浴料650円。熱めの湯が気持ちよかったです。

16時30分、仙台駅に戻ってレンタカーを返却。本当は市内を歩き回りたかったのですが、足首が痛むので駅中で済ませることに。利休のイタリアン CUCINAで一杯。

売店で、宮城の酒とおつまみを買って、新幹線に乗車。東京に帰りました。怪我の回復を祈りつつも、反省、反省。

二王子岳:新緑と残雪の季節、地元で愛される飯豊連峰の前衛へ

2025年5月15日 二百名山の二王子岳に登りました

新発田市岡田から二王子岳を望む>

新潟県北部の二王子岳。山名は、王子信仰(神が子供の姿で現れる)に関わりがあり、飯豊の五王子権現のうち二番目の王子が祀られていることが由来のようです。地元で愛されるこの山に、二王子神社から登りました。距離11.0km・累積登り1205mの行程を紹介します。

アクセス
23時35分 新宿駅発(夜行バス)
05時30分 新潟駅
05時50分 新潟駅発(レンタカー)
07時00分 二王子神社

夜行バスで新潟駅に到着。トヨタのカーシェアサービス「トヨタシェア」を初めて利用しました。有人のレンタカー店と違い、24時間いつでも利用できるので便利です。

新潟市から新発田市に入ると二王子岳が見えてきました。古くから仰ぎ慕われる農事の神山。麓では、山の残雪模様から田植えの時期を判断していたそうです。

新潟駅から約1時間で駐車場に到着。神社の駐車場も含めると、車は10台ほど駐まっていました。

7時10分、登山開始。

駐車場からすぐの所にある王子神社。境内はキャンプ場になっており、トイレ・水場・炊事場が備わっています。

境内の一角から登山道へ。

一合目には、巨杉がそびえ、

小川が流れています。癒しのせせらぎ。下山時はこの冷たい雪解け水を浴びました。爽快でした。

二合目は新緑のブナ林になり、

8時10分、三合目に到着。登山道には一合ごとに標識があります。一合登るのに約20分かかりました。

三合目から少し降りた水場にある、水芭蕉の群生地。素通りするところでしたが、道中でお会いした地元の方に教えてもらいました。

登り再開。三合目からは残雪。5月を過ぎてこんなに雪が残っているのは珍しいそうです。それだけ今年は全国的に大雪でした。

四-五合目は、広くてどこを歩けばよいか分からず、好き勝手に歩きました。一部、夏道を歩く箇所もあります。

一番目立っていた花はイワウチワ(岩団扇)。ショウジョウバカマカタクリも見られました。

9時20分、六合目に到着。一合ごとが長いので「まだ六合目かよ」と思いましたが、九合目と十合目はほぼ同じ所にあるため、山頂まで残り3分の1です。

六合目からは見晴らしが良くなり、

七合目の油こぼしの急坂を登り終えると、

山頂の避難小屋も見えてきます。

標高が上がるにつれて現れる周囲の山々。ゼブラ色の壮観に胸が高まります。まず右手(南側)に見えてきたのは蒜場山。

そして前方には一層神々しい姿。あれが飯豊連峰ですね。山頂での眺望に期待!

雪解けした頂上稜線を登り、10時15分、九合目の奥ノ院に到着。山頂は目と鼻の先で、

10時20分、二王子岳に到着。標高1420m。登山口から3時間10分のタイムでした。

素晴らしい眺め。嬉しくて青春の鐘を5回ぐらいかき鳴らしました。左の朳差岳から右の大日岳まで、飯豊連峰を一望します。

飯豊連峰のアップ。登りたい山リストには入っているのですが、そう簡単には登れないのでまだ実現できずにいます。数年以内には縦走したい、憧れの山脈です。

山頂の避難小屋で昼食をとりながら、よく二王子岳に登るという地元の方3人と話し、有志で登山道を整備していると伺いました。たしかに登りながら「丁寧に整備されているなあ」と感心したんですよね。この日も二合目で杭打ちしている方がお二人いました。美しい登山道には、たくさんの方の献身が隠れています。

昼食後、同じ道で下山します。

やや霞んでいますが、越後平野日本海を一望。来れてよかったと思いつつ、

13時10分、二王子神社に下山しました。

<記録>
7時10分開始、13時10分下山(6時間00分)
距離11.0km・累積登り1205m

🚙🚙🚙🚙🚙 🚙🚙🚙🚙🚙

下山後は、新発田温泉あやめの湯へ。新発田城の別名「あやめ城」にちなむのでしょう。入浴料450円。茶褐色の熱めの湯で、個人的に好きな泉質でした。

15時30分、新潟駅に到着してレンタカーを返却。駅前の須坂屋そばで一杯飲んで、

もう一軒、新潟駅内にあるぽんしゅ館コンプレックスへ。酒は言わずもがな、おつまみも秀逸。ソロ飲みにちょうどいい量の、センスある一皿が豊富で良い店でした。

17時過ぎ、新潟駅から新幹線ときに乗って東京に帰りました。

伯母子岳:熊野古道・小辺路の旅。高野山から伯母子岳へ。

2025年4月30日 二百名山の伯母子岳に登りました

<伯母子岳の山頂>

世界遺産熊野古道。複数ある道のうち、高野山と熊野本宮をつなぐ全長72kmの参詣道を小辺路(こへち)と呼びます。今回、高野山から伯母子岳まで、小辺路の約3分の1を歩きました。距離39.8km・累積登り2543mの一泊二日旅を紹介します。

アクセス
22時20分 新宿駅発(夜行バス)
06時30分 難波OCAT
07時00分 南海難波駅発(特急こうや
08時16分 極楽橋駅

夜行バスで難波に到着し、特急こうやに乗車。

8時16分、極楽橋駅に到着。大半の人はケーブルカーに乗り換えて高野山駅に向かいますが、今日は時間があるので徒歩で登ってみます。8時20分、登山開始。

極楽橋を渡って、

不動坂に入ります。新旧2つのルートのうち、旧道のいろは坂を歩きました。つづら折りの歩きやすい山道です。

極楽橋から50分で女人堂に到着。明治5年に高野山の女人禁制が解かれるまで、女性はここで祈りを捧げていました。

女人堂から高野山内に入ります。

寺院と宿坊が軒を連ねる、東西6km・南北2kmの山内。一際立派な金剛峯寺に寄り道しました。

高野山真言宗の総本山。大主殿は1862年建築だそうです。

大通りを歩いて、

茶店に入店。きつねうどんで腹ごしらえしました。

さらにコンビニで食糧調達してから、いよいよ小辺路に入ります。

しばらく砂利道を歩いて、

10時25分、ろくろ峠に到着。大滝口女人堂の跡地です。首を伸ばして高野山内を眺めていた女性、あるいは紀伊山地を眺めていた旅人の姿が峠名の由来とされています。

たしかに紀伊山地の見晴らしが良いですね。

11時00分、薄峠(すすきとうげ)に到着。ここから大滝集落まで下ります。

石垣や墓地があります。集落の跡地でしょうか。

谷底の御殿川橋まで降りてから、上りに転じます。

11時40分、大滝集落に到着。

10戸ほどの静かな集落にトイレとベンチが設置されています。丁度良い間隔にある休憩ポイント。小辺路の旅人を後押ししてくれます。青空のもと昼食をとりました。

しばらく山道を歩いてから、

龍神スカイラインに合流。車道を2kmほど歩きます。

景色の良い道路なので、

ツーリングのバイクが沢山走っていました。再び山道に入って、

13時10分、水ヶ峰に到着。ここが一日目の最高標高です。

水ヶ峰は、明治時代には八軒の宿があったものの、交通の変化によって往来が絶え、昭和27年に廃村となった跡地。石垣や墓地がわずかに面影をとどめています。

ここからはアスファルトの林道がメインで、たまに旧道の山道に入るという具合になります。

13時45分、東家に到着。外国人カップルが休んでいました。この日、小辺路ですれ違ったのは6人で、うち4人が外国人でした。

14時15分、平辻に到着。

道標地蔵。ちゃんと読めませんが、おそらく、右・熊野、左・高野山と書いてあります。

人里に向かい急降下して、

川原樋川(かわらびがわ)に到着。上流に進むと北今西、下流に進むと大股です。ホテルのある北今西に向かって、ラスト1kmを歩きます。

15時20分、ホテルのせ川に到着。ずっと和歌山と奈良の県境を歩いてきましたが、ここは奈良県吉野郡野迫川村です。極楽橋を出発して7時間の長旅でした。

のんびり温泉に浸かってから夕食。メイン料理は、鴨・猪・雉の大鍋と、あまごの塩焼き。こういう所でしか食べられない料理ですね。

お酒も、奈良の地酒3種を堪能ました。

ちなみに、食堂にいた宿泊客は25人ほどで、うち半数以上が外国人。世界遺産の効果でしょうか。魅力が世界に伝わり、往来が増え、古道が維持されれば、望ましいことだと思います。

再び温泉に入って、22時、就寝。川音が心地よく、ぐっすり眠れました。

💤💤💤💤💤 🌟🌟🌟🌟🌟

2日目

6時40分、ホテルのせ川を出発。まず大股まで車道を3km歩きます。

7時15分、大股に到着。20戸ほどの集落です。ここから伯母子岳を目指します。

昨日は鋪道歩きも多かったのですが、今日は通常の山登り。スギやマツやブナが入り混じる山道をつづら折りに登り、

7時55分、萱小屋跡に到着。ここも集落跡地です。いまは避難小屋があり宿泊できるようになっています。ビールも売っていました。

さらに標高を上げ、

8時35分、桧峠に到着。

ここで、ホテルにご用意頂いた弁当で朝食をとりました。

左前に伯母子岳を見据えながら、いったん下り、再び登り返して、

9時20分、伯母子岳に到着。標高1344m。

山頂は360度の好展望。この山域は初めてなので同定はできませんが、西は護摩壇山、東は大峰山、北は高野山金剛山と、紀伊半島の山々を一望できました。好天に恵まれ感謝。

小辺路は熊野本宮まであと40km続きますが、今回の旅はここまで。大股に下りて、バスで高野山へ戻ります。下山中、大きなリュックを背負って縦走する人とすれ違うたび、羨ましさと名残惜しさを感じました。いつか熊野まで完歩したいです。

11時20分、大股に下山。ただ、バスの発車は3時間後なので、ホテルに戻ります。

12時05分、北今西に戻ってきました。

温泉(入浴料800円)に入って、ホテル別館のレストランで昼食。

食後、本棚にあった『野迫川村史』(1974年発行)を読むと、小辺路の集落の廃村のことや、昭和以降も過疎化が進んでいる事情が書かれていました。2004年に熊野古道世界遺産に登録されて以降、新たな歴史が生まれているのかもしれません。

14時40分、野迫川村営バス(平日のみ運行)に乗って高野山へ。乗客は私だけでした。15時50分、高野山に到着。

お土産に柿の葉寿司を買って、ケーブルカーに乗車。極楽橋から南海線に乗り、難波に戻って、夜行バスで東京に帰りました。

交通アクセスが難しかった今回の旅。それだけに山奥の秘境感を味わうことができました。外国の方が多かったのが印象的でしたが、より多くの人に熊野古道の魅力が伝わり、古道と自然と集落が、これからも維持され発展することを願います。