二百名山を気長に登るブログ

二百名山の制覇を気長に目指してます。公共交通機関を利用した縦走が好きです。

吾妻山:吾妻連峰縦走。グランデコから高湯温泉への一泊二日旅。

2024年6月14日 百名山の吾妻山に登りました

<早朝、東大巓付近の稜線を歩く>

吾妻山。なぜか山名に浪漫を感じ、登山を始めたときから「いつか縦走したい」と思っていた山でした。縦走するには避難小屋に宿泊する必要があるため、実現まで何年もかかりましたが、先日、クッカーとシュラフを購入し、準備完了。遂に憧れの縦走を実現できました。グランデコを起点に、明月荘に宿泊し、高湯温泉に下山する、距離33.1km・累積登り2109mの縦走路を歩きます。

アクセス
6時04分 東京駅発(やまびこ51号)→ 7時23分 郡山駅
8時29分 郡山駅発(磐梯西線)→ 9時10分 猪苗代駅
9時20分 猪苗代駅発(シャトルバス)→ 9時55分 グランデコ着

9時10分、猪苗代駅に到着。ここから無料のシャトルバス(要予約)に乗ります。乗客は私だけだったので何だか申し訳ない気分。磐梯山を眺めながら、裏磐梯エリアにあるグランデコに向かいます。

グランデコに到着し、10時00分、登山開始。

信越や東北の山ではスキー場から登ることがよくありますが、ゲレンデ歩きって大体きついですよね。ここも日陰が少なく急斜面なのでキツイです。ただ振り返ると磐梯山。どこから眺めても格好いい山です。この先でも時々、磐梯山を眺めることができました。

1時間半ほどのゲレンデ歩きが終わり、ようやく登山道に。展望なく、風も通らない蒸し暑い道。西大巓まで我慢が続きます。

12時55分、西大巓(にしだいてん)に到着。標高1982m。1900m前後のピークが十座ほど連なる吾妻連峰の西端にあります。開放的な山頂で昼食をとりました。

さあ、西大巓から東に向かって縦走が始まります。次に目指すのは西吾妻山です。

13時50分、西吾妻山に到着。標高2035mで吾妻連峰の最高峰。ただ山頂は狭く、清々しいほど展望がありません(笑)私が登った百名山の中で一番地味な山頂。ここだけ登りに来た方はがっかりするかもしれないですね。

早々に西吾妻山を降りて、

途中の吾妻神社で安全祈願してから、

左に見える中大巓を目指します。中央に見えるのはその先の東大巓。池塘も現れて、高層湿原の様相を呈してきました。

今回の登山で最も印象的だったのが咲き乱れる花々。特にチングルマとイワカガミが目立っていました。

中大巓付近の水場に到着。今回の縦走路では、ここと、明月荘付近の2箇所に水場があります。6月にもかかわらず非常に暑かったので、この冷たい水を飲んで生き返る心地がしました。

15時00分、中大巓の人形石というポイントに到着。中大巓の山頂には登れないので、ここから東大巓方面を目指します。

長く伸びる吾妻連峰の稜線。中央左の小ピークが藤十郎、その先の中央右のピークが東大巓。まだまだ先は長いです。

この日は西吾妻山から明月荘まで誰にも会わず、静かで孤独な山旅でした。広大な空間を一人歩く贅沢さ。振り返ると、西大巓・西吾妻山・中大巓と、歩いてきた山々が見えます。

ワタスゲが咲く木道。東大巓と明月荘はあと少しです。

16時30分、明月荘に到着。無事明るい時間に、一日目を終えることができました。

明月荘の内部はこんな感じ。2階建で収容人数は30名。初めての避難小屋泊なので不安もありましたが、この日は60代の男性登山者が一人いたので正直ほっとしました。

荷物を置いてから、明月荘から10分歩いた所にある金明水で水を確保。

18時、同泊者と山談義しながら夕食。私はカレーライスを食べてから、ウイスキーで晩酌。山で作る料理と飲む酒は最高でした。テント泊の人たちが重たい荷物を背負って歩く理由が分かった気がします。ますます登山にハマってしまいそう。

19時、日の入り。この後しばらくして眠りました。

2日目。

同泊者の男性は4時に出発。熊に遭わないようにとお互いの安全を祈って別れました。私はそれから朝飯を食べて、支度をして、5時に出発。

東大巓を越えて東に進みます。素晴らしい眺め。手前から昭元山・烏帽子山・家形山、さらにその右奥に一切経山も見えます。

北には雲海が広がっています。今回の縦走路で一番素敵なポイントでした。

歩きやすい道は残念ながらここまで。谷地平分岐点からは、昭元山・烏帽子山・家形山へと続く縦走路に入ります。「山と高原地図」では破線ルート扱いで、危険度は高くないものの、道の状態が悪い区間です。

6時15分、昭元山に到着。東には次のピークの烏帽子山。地図では近くに見えましたが、実際には距離もアップダウンも結構あります。

烏帽子山へは、ゴロゴロ転がる巨石の上を歩いて、

6時55分、烏帽子山に到着。ここからの眺めも素晴らしいです。東大巓から右に伸びる稜線の先に、樹木に囲まれた明月荘も見えました。

烏帽子山から先はさらに悪路になってきます。まず基本的にずっと藪漕ぎ状態。

そして頻繁に倒木が道をふさぎます。泥濘も酷く靴は泥だらけ。小バエも終始まとわりついてきます。フラストレーションが溜まって、倒木に頭をぶつけたとき、もう我慢できず「鬱陶しいんじゃ!!」と叫んでしまいました。

それでも時折現れる草花には癒されました。特に目立っていたのは水芭蕉

8時15分、家形山の標識に到着。ここから先は笹藪が刈り払わられ、歩きやすい道になりました。登山道を整備されている方々に感謝!

8時25分、家形山に到着。そして目に飛び込んできたのは、一切経山五色沼。つらい藪漕ぎの後だけに、この光景が天国のように見えました。

いよいよ縦走路のラスボス、一切経山への登り。

9時15分、一切経山到着。

広い山頂にはたくさんの人。昨日からあまり人に会わなかったので、人里に戻ってきた気分。

南には吾妻富士。

そして北西を眺めると、昨日から歩いてきた縦走路が一望できました。左奥から、西大巓・西吾妻山・中大巓・東大巓・昭元山・烏帽子山・ニセ烏帽子山・家形山。見事な旅のハイライト。いやぁ、想像していたより体力的に辛かった。感無量の状態で、しばらく景色に見惚れていました。

一切経山を後にして、高湯温泉に下山します。距離はあるものの、歩きやすい道です。

12時20分、高湯温泉にゴール。共同浴場あったか湯(料金250円)に入りました。泉質は個人的に好きな硫黄泉。のんびり入浴し、待合室でジュースを飲んで過ごしました。

14時30分、高湯温泉発のバスに乗って、15時05分、福島駅に到着。新幹線で東京に帰りました。

念願の吾妻連峰縦走と、初の避難小屋泊を実現できた山旅。登山人生の中でもきっと思い出に残り続ける登山となりました。

<記録>
距離33.1km・累積登り2109m